インフラエンジニアライフ

インフラエンジニアの上流工程は何年で到達できる?【同僚の事例】

2025年3月1日

上流工程

この記事で解決できる疑問や悩み

  • 上流工程にキャリアアップするまでの年数は?
  • 上流工程に必要なスキルや経験は?
  • 未経験から下流工程をすっ飛ばして進める?

この記事では、上流工程へ進めた目のスキルや条件について、深く掘り下げて考えたいと思います。

芯
私は下流工程の経験しかありませんが、上流工程のチームからお誘いを受けたことがあります。時期尚早だったのと、なるべくストレスの少ない環境で働きたかったのでお断りしました。ただ、上流工程へ行った人たちを何人か見てきたので、参考になると思います。

記事前半では、「私の同僚が上流工程に進むまでに要しな年数や業務経験」、後半では「歓迎資格と未経験から可能かどうか」をお話しします。

私の先輩・後輩が上流工程に行くまでに要した年数

私は給料よりもストレスフリーな環境で働きたいので、今のところは上流工程に行くつもりはありません(ただ、行きたくなった時にすぐに行けるように、スキルアップは欠かしません)

なので、あくまで私の先輩や後輩の事例をご紹介させていただきます。サンプルが5人なので、データの信頼性に若干欠けるかもしれませんが、リアルな数字なので参考にしてください。

名前上流工程に上がるのに要した年数
Mさん3
Nさん6.5
Yさん2
Hさん5
Iさん2.5
平均3.8

結果は上記のとおりです。個人差はありますが、平均で3.8年となりました。なお、単位は0.5年ごとでカウントしており、小数点は切り上げで計算しています(0.8年なら1年で計算)

続いて、各々の下流工程での業務経験をまとめました。

Mさん

Mさんは、新卒でインフラエンジニアとしてキャリアをスタートし、3年間下流工程の業務を経験しました。主にLinuxやWindowsサーバーの構築を担当し、ネットワーク機器の設定にも携わりました。

加えて、Zabbixを用いた監視システムの運用を行い、障害発生時の一次対応を経験しました。また、シェルスクリプトを用いた簡単な自動化にも取り組み、業務効率化を図りました。

Nさん

Nさんは、6.5年間インフラエンジニアとして仮想化基盤の構築・運用に携わってきました。VMwareやHyper-Vを用いた仮想環境の管理を担当し、さらにNetAppなどのストレージ管理も行っていました。

監視ツールのカスタマイズや運用改善にも取り組み、システムの安定運用に貢献しました。また、運用チームのリーダーとしてメンバーの業務管理や教育も経験し、上流工程に必要なマネジメントスキルを身につけました。

Yさん

Yさんは3年間データセンターでの業務に従事し、サーバーラックへのマウント作業やケーブリング作業を中心に担当していました。OSのインストールや初期設定も行い、運用現場での実務経験を積みました。

また、システムのログ監視や障害発生時の一次対応を担当し、ITILのフレームワークに基づいた運用管理を実践しました。これらの経験を通じて、インフラの現場業務の基礎をしっかりと習得しました。

Hさん

Hさんは、5年間にわたりクラウド環境の運用を担当し、AWSやAzureの管理を行ってきました。業務では、システムのバックアップや障害対応に加え、OSやミドルウェアのパッチ適用も任されていました。

また、運用設計のドキュメント作成を通じて、より効率的な運用プロセスの整備にも貢献しました。こうした経験を積むことで、クラウド環境における運用管理のノウハウを身につけました。

Iさん

Iさんは2.5年間、ネットワーク運用・保守の業務に従事し、ルーティングやACL設定を担当していました。加えて、ファイアウォールやWAFの設定にも関与し、セキュリティ対策の知識を深めました。

また、インフラのパフォーマンスチューニングや、AnsibleやJenkinsを用いたCI/CD環境の運用にも携わり、システムの自動化や最適化に貢献しました。こうした経験を積み重ねることで、より高度なネットワーク設計やセキュリティ戦略を考えられるエンジニアへと成長しました。

インフラエンジニアが上流工程に進むために必要なスキル

私の会社が受託している上流工程の案件は、大規模ネットワークやシステムの構築、設計業務です。

求められるスキルは平均よりも高いので、小規模・中規模の構築・設計業務であれば、紹介するスキルは必要としないかもしれませんが、必要とされるスキルを分析していきます。

インフラエンジニアが上流工程に進むために必要なスキル

一つずつ見ていきましょう。

ネットワーク・サーバーの基礎知識(CCNA・CCNP・LinuC レベル3)

ネットワークやサーバーの基礎知識は、上流工程に進むための土台になります。

上流工程では、システム全体を設計するため、ネットワークやサーバーの動きを理解していないと、適切な設計ができないからです。

芯
私の会社の場合、CCNAは必須レベル。CCNPやLinuC レベル3は歓迎レベルでした。CCNPを持っていれば、上流工程のチームからオファーされるレベルです。

CCNA・CCNP・LinuCの知識を学ぶことで、システムの仕組みを理解し、上流工程での設計ができるようになります。

仮想化・クラウドの基礎知識

仮想化やクラウドの知識があると、最新のシステム設計ができるようになります。

近年、多くの企業が物理サーバーから仮想化・クラウド環境に移行しているため、上流工程ではこれらを考慮した設計が求められるからです。

芯
私の会社の場合、下流⇒上流へ行くと、様々な研修を受けます。その中にクラウド研修もあり、AWSやAzureの基礎を学びます。これらの資格を持っていれば、上流へ上がりやすくなるでしょう。

クラウドや仮想化の知識を身につけることで、現代のインフラ設計に対応でき、上流工程で活躍しやすくなります。

運用・監視の経験を活かしたトラブルシューティング能力

運用・監視の経験があると、障害が起きにくい設計ができるようになります。

上流工程では、システムを安定して動かすために「どんなトラブルが起こるか?」を予測し、対策を考えることが大切だからです。

芯
私の会社のとある構築・設計チームでリーダーを務めている先輩は、運用監視からスタートしていました。監視チームが閲覧する手順書などは構築・設計チームが作成することの多く、下流工程の経験が役に立っているそうです。

運用・監視の経験を活かしてトラブルを防ぐ設計ができると、上流工程での評価が高まり、より責任のある仕事を任されやすくなります。

小規模な案件での設計・構築経験(シミュレーションでも可)

小規模な案件の設計・構築経験があると、上流工程の仕事にスムーズに移行できます。

設計の考え方や流れを理解するには、実際に手を動かして経験することが一番だからです。

芯
実務以外で構築経験を積むのは難しいでしょう。シスコのパケットトレーサーやGNS3で疑似的な構築経験を積めるので、シミュレーターを使うのがいいと思います。

実際の案件やシミュレーションを通じて設計を経験することで、上流工程で求められるスキルを身につけることができます。

手順書の作成スキル

分かりやすい手順書を作れると、設計や要件定義の業務にも活かせます。

上流工程では、システムを設計するだけでなく、それを「誰が見ても分かる形」にまとめる能力が求められるからです。

芯
先ほどもお話しした通り、上流工程のメンバーは下流工程で使用するネットワーク構成図や手順書を作成するのも仕事です。未経験でも分かるような手順書を作成できるスキルは重宝されますよ。

手順書を作るスキルを鍛えることで、上流工程に必要な「設計書の作成」や「要件定義書の作成」にも活かせるようになります。

上流工程に進むためのおすすめ資格

上流工程に進むためには、基礎的な技術力だけでなく、設計やマネジメントの知識も必要になります。

そのためには、資格を取得して知識を体系的に学ぶのが効果的です。ここでは、分野ごとにおすすめの資格を紹介しますが、これらの資格を保有していれば「ほぼ間違いなく上流工程へ進める資格」となります。

必須資格ではなく歓迎資格になるので、無理に取得する必要はありません(歓迎資格なので、必須資格よりハードルは高いです)

ネットワーク構築・設計

上流工程を目指すなら、「CCNP」がおすすめです。

CCNPを取得すると、ネットワークの設計・構築・運用について深い知識があることを証明できます。下流工程では、ルーターやスイッチの設定を行うことが多いですが、上流工程では企業のネットワーク全体を設計する力が求められます。

例えば、大企業が新しいオフィスを作るとき、どこにどんなネットワーク機器を置くべきかを考えるのが上流工程の仕事です。CCNPの知識があれば、通信速度やセキュリティを考慮しながら最適な設計ができるようになります。

芯
Iさんは業務経験2.5年でCCNPを取得していました。これほどの短期間でCCNPを取得できる人は稀ですが、、、笑

CCNPを取得すると、ネットワークの全体像を理解できるようになり、上流工程に進むための大きな武器になります。

サーバー構築・設計

サーバーの上流工程を目指すなら、「LPIC-3もしくあLinuC レベル3」がおすすめです。

LPIC-3を取得すると、Linuxサーバーの運用だけでなく、システムの設計やトラブルシューティングのスキルも証明できます。下流工程では、決められた手順でサーバーを設定することが多いですが、上流工程ではどんなサーバーを導入するか、どのように設定するかを決める必要があります。

例えば、会社の業務システムを動かすサーバーを新しく構築する場合、どのLinuxディストリビューションを選ぶか、ストレージやメモリの容量をどのくらいにするかを決めるのが上流工程の仕事です。LPIC-3の知識があれば、適切な設計ができるようになります。

芯
Mさんは業務経験3年でLPIC-2を取得していました。LPIC-3を勉強中のタイミングで、上流工程へ進んだようです。

LPIC-3を取得すると、Linuxサーバーの設計力が身につき、上流工程の仕事に必要なスキルを証明できます。

データベース構築・設計

データベースの上流工程を目指すなら、「ORACLE MASTER Gold」がおすすめです。

ORACLE MASTER Goldを取得すると、データベースの設計・構築・管理のスキルがあることを証明できます。下流工程ではSQLを使ってデータの操作をすることが多いですが、上流工程ではデータの保存方法やアクセスの最適化を考える必要があります。

例えば、大規模なECサイトを運営する場合、顧客の注文データを安全に管理し、検索を高速化するためのデータベース設計が求められます。OCPの知識があれば、データの格納方法やインデックスの設定など、最適なデータベース設計ができるようになります。

芯
Nさんは約6年かけてORACLE MASTER Goldを取得したそうです。上流工程でもGold保持者は多くはないので、すぐに声がかかったみたいですよ。

ORACLE MASTER Goldを取得すると、データベースの設計や最適化のスキルが証明でき、上流工程へのステップアップがしやすくなります。

クラウド構築・設計

クラウドの上流工程を目指すなら、「AWS Certified Solutions Architect - Professional」がおすすめです。

この資格を取得すると、AWSのクラウドサービスを活用したシステム設計のスキルがあることを証明できます。下流工程ではクラウド上でサーバーを作る作業が中心ですが、上流工程ではクラウド全体の設計やコスト管理も重要になります。

例えば、企業がオンプレミスのサーバーをAWSに移行する場合、どのサービスを使うべきか、コストをどう最適化するかを考えるのが上流工程の仕事です。AWS Certified Solutions Architectの知識があれば、企業のニーズに合った最適なクラウド環境を設計できます。

芯
Hさんはアソシエイトを取得してから1年でプロフェッショナルを取得しました。

AWS Certified Solutions Architectを取得すると、クラウドの設計スキルが身につき、上流工程で求められるクラウドアーキテクトとしてのキャリアを築きやすくなります。

完全未経験から上流工程へ進めるのか?

完全未経験から上流工程に進むことは簡単ではありませんが、不可能ではありません。特に、実務経験を積みながら着実にステップアップしていくのが一般的なルートです。

完全未経験から上流工程へ進む方法

ここでは、上流工程を目指すための3つのパターンを紹介します。

基本は運用監視・保守⇒構築ルート

未経験から上流工程に進むには、まず運用監視や保守の仕事を経験し、その後、構築の仕事にステップアップするのが一般的なルートです。

上流工程では、システム全体の設計や最適な構成を考える力が必要になります。しかし、設計をするためには、実際にどんなトラブルが起きるのか、どんな運用がされているのかを理解していなければなりません。

そのため、まずは運用や保守の仕事を通じて、システムの基本を学ぶことが大切です。

例えば、未経験でIT業界に入った場合、最初はサーバーのログを監視したり、ネットワークの障害対応をしたりする運用監視の仕事をすることが多いです。その中で、サーバーの設定変更や簡単なスクリプト作成などを任されるようになり、構築の仕事にステップアップできます。

芯
そこからさらに経験を積み、上流工程へと進んでいくのが一般的な流れです。

完全未経験から上流工程に進むには、まず運用や保守の仕事で基礎を学び、徐々に構築へとステップアップしていくのが現実的な方法です。

疑似構築経験ありなら可能性あり

未経験でも、自宅でサーバーやネットワークの構築経験があれば、最初から構築の仕事に就ける可能性があります。

IT業界では、「実際に手を動かした経験」がとても重要です。会社での実務経験がなくても、個人でサーバーやネットワークを構築した経験があれば、それを評価してくれる企業もあります。特に、クラウド環境を使えば、簡単に構築の練習ができるため、実務に近い経験を積むことが可能です。

芯
私は定期的にCiscoのPacket Tracerを使って、ネットワーク機器の設定をシミュレーションしています。仮想環境でルーターやPCを設置し、思い通りに通信が可能かどうか練習しています。

完全未経験でも、自宅でサーバーやネットワークを構築する経験を積めば、実務未経験者向けの構築案件に挑戦できる可能性があります。

高難度資格があれば、高確率で進める

未経験でも、高難度の資格を取得すれば、上流工程に進める確率が大きく上がります。

資格は、その分野の知識を持っていることを証明するものです。特に、上流工程の仕事では専門知識が求められるため、高難度の資格を持っていれば「この人は知識がある」と企業に判断され、採用されやすくなります。

芯
先ほど紹介したCCNPなどの高難度資格があれば、下流工程をすっ飛ばすことも十分に可能ですよ。

未経験から上流工程を目指す場合でも、高難度の資格を取得すれば、実務経験がなくても採用される可能性が高まります

まとめ

インフラエンジニアが上流工程へ進むには、一般的に3〜5年の経験が必要です。運用・保守から構築へ移行し、設計・要件定義のスキルを磨くことが重要です。

実務経験に加え、高難度の資格取得や自主学習も有効です。経験年数にこだわらず、求められるスキルを習得し、積極的にキャリアアップを目指しましょう。

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  • この記事を書いた人
芯

2022年、営業からインフラエンジニアへ転職。ホワイトSES 企業にて就業中。大手通信会社のネットワーク回線の運用監視保守や売上高1兆円超え企業の業務システムの運用保守を経験。ネットワーク寄りのインフラエンジニアです。保有資格:CCNA。CCNP勉強中

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