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SESで引き抜きを成功させるための5つのコツ【現役SEが解説】

2025年1月18日

引き抜きされるコツ

この記事で解決できる疑問や悩み

  • SES企業から引き抜かれる方法を知りたい
  • 引き抜きに関する法律や注意点を理解したい
  • 自身の市場価値を客観的に評価したい

この記事では、SES企業から引き抜きされる人材について、深く掘り下げて考えていきたいと思います。

芯
私はインフラエンジニアに転向してから、引き抜きされる人もしくはされた人を何人か見てきました。それらの人には、いくつかの共通点があったのです。

記事を最後まで読むことで、引き抜きされる人材が備えているスキルやスペック、状況を理解することができます。そして、あなたが常駐先の企業から引き抜かれるために何をすればいいかが、わかるようになると思います。

 

SES企業から大手企業への引き抜きとは?

SES企業でスキルを磨き、大手企業へ転職を果たすエンジニアが増えています。特にインフラエンジニアは、需要が高く引き抜きの対象になることもしばしば。

この記事では、SES企業から大手企業に引き抜かれる理由や実例、キャリアアップを成功させるポイントを解説します。

自身の市場価値を最大化するヒントを見つけましょう!

引き抜きの定義と背景

引き抜きとは、SES企業で働く優秀なエンジニアが大手企業に直接雇用される形で転職することを指します。

SES企業は、エンジニアを派遣して収益を得るビジネスモデルである一方、大手企業は自社に優秀なエンジニアを抱えることで、長期的な競争力を高めたいと考えています。この利害の一致が引き抜きの背景です。

引き抜きの背景

例えば、あるエンジニアがSES企業で3年間、通信業界のシステム開発プロジェクトを担当していたとします。顧客である大手通信会社は、そのエンジニアのスキルや仕事ぶりに感心し、直接採用することで、プロジェクトの効率化とノウハウの内部化を目指します。これは「引き抜き」の典型的なケースです。

引き抜きは、大手企業が自社の競争力を高めるための一手段であり、SES企業にとっては人材流出につながる現象です。

SES企業と大手企業の違い

SES企業と大手企業では、雇用形態や仕事の仕組みに大きな違いがあります。

SES企業は「プロジェクト単位の契約」に基づいて働くため、派遣先の指示に従いながら仕事を進めることが多いです。

一方、大手企業は「自社の事業」に直接貢献することが求められ、長期的な視点でスキルやキャリアを育てる環境があります。

芯
SES企業で働くエンジニアは、例えるなら「プロのレンタル選手」です。必要な試合だけ参加し、終われば別の試合に移ります。
芯
一方、大手企業のエンジニアは「チームの正規メンバー」として、戦略づくりから練習、試合まで一貫して関わります。この違いが、働き方やキャリア形成に影響します。

SES企業は幅広いプロジェクト経験を積む場であり、大手企業は長期的なキャリアを築きたい人に向いていると言えます。

ここでいう大手企業とはSIerのことですが、いまいち違いが分からない方は、SES、SIer、客先常駐の違いの記事をご覧ください。

引き抜きのメリットとデメリット

引き抜きには、エンジニア自身のキャリアアップにつながるメリットがある一方で、リスクも伴います。

大手企業への転職は、安定した雇用やキャリア形成のチャンスを提供しますが、新しい環境に適応する負担やSES企業との関係性に悩む可能性があります。

例えば、SES企業から引き抜かれたエンジニアが年収アップや福利厚生の向上を得られた一方で、新しい職場での文化や人間関係に苦労するケースもあります。

加えて、元のSES企業との契約内容によっては、トラブルが発生する場合もあります。

引き抜きのメリットとデメリットをしっかり理解し、冷静に判断することが、キャリアを成功に導く鍵となります。

SESから親会社やSIerに引き抜かれるための方法

SES企業で経験を積んだエンジニアが、親会社やSIerに引き抜かれるケースは珍しくありません。引き抜きは、キャリアアップや安定した働き方への一歩です。

この項目では、引き抜きを成功させるための5つの具体的な方法を解説。

SESから親会社やSIerに引き抜かれるための方法

スキルアップから人脈構築まで、実践的なポイントを押さえ、自分の市場価値を高める戦略を学びましょう!

顧客先での高い成果を出す

顧客先でしっかり成果を出すことが引き抜かれるための第一歩です。

成果を出す人は、周りから「この人がいると助かる」と思われる存在になります。人は、頼りになる人をもっと身近に置きたくなるものです。

例えば、トラブルが頻発するネットワーク環境で、「この設定を変えれば解決する」と的確に提案し、問題を解決したとします。

芯
顧客から見れば、その仕事ぶりに信頼が生まれ、「この人を自社で雇いたい」と感じるきっかけになりますよね。

成果をしっかり残すことは、「この人が必要だ」と思われるための重要なポイントです。

積極的なコミュニケーションを取る

コミュニケーションを通じて、自分の存在を顧客にしっかりアピールしましょう。

優れた成果を出していても、黙っていると周りに伝わりません。自分の考えや意欲をきちんと伝えることで、顧客との信頼関係が深まります。

例えば、定例会議で「この作業をこう改善すると効率が上がります」と意見を述べたところ、リーダーが感心して具体的な改善案の検討を任せるようになったケースがあります。

芯
このように、意見を出すことで信頼される場面が増えるのです。

積極的にコミュニケーションを取ることは、周囲に自分の価値を伝える最善の方法です。

専門資格を取得する

資格を取得すると、自分のスキルを証明する強力な武器になります。

資格は「実力の証明書」のようなものです。顧客は、資格を持っている人を信頼しやすくなります。

例えば、CCNPを取得したエンジニアが「ネットワーク構築の基本がしっかり分かっている」と評価され、新規プロジェクトのメンバーに選ばれるケースがあります。資格があると「この人なら安心して任せられる」と思われるのです。

資格は、スキルを見える形で証明するために有効な手段です。

インフラ系資格は、インフラエンジニアが資格取得する際の最適な順番を参照してください。

配属先の事業や技術を深く理解する

顧客の業務や技術をよく理解することが、引き抜きへの近道です。

業務や技術に詳しい人は、顧客にとって「即戦力」として評価されます。自社の業務に馴染んでいる人を雇いたいと考えるのは当然です。

例えば、配属先で使われている独自のシステムについて学び、「この部分を改善すれば動作が速くなります」と提案した場合、その現場での知識と貢献度が評価されます。

芯
常駐先の事業を深く理解できる人は少ないので、これがきっかけで直接雇用を打診されることもあります。

配属先の仕事や技術を深く知ることは、顧客から信頼を得るために大切です。

キャリアの方向性を示す

自分がどんなキャリアを目指しているのかを顧客に伝えましょう。

顧客は「この人を採用したらどのように活躍してくれるか」を考えます。自分の方向性を示すことで、顧客は採用後のイメージを持ちやすくなります。

例えば、「ネットワークエンジニアとして成長し、設計から運用まで幅広く対応できる人材を目指しています」と顧客に話したところ、「うちのプロジェクトでその経験が積めるから、ぜひ来てほしい」とオファーを受けたケースがあります。

キャリアの方向性を示すことで、顧客に「採用後の未来図」を描かせることが重要です。

インフラエンジニアがSESでキャリアアップするための方法も書いていますが、SIerへ引き抜きされるための準備としても役に立つと思います。

引き抜きに関する法律と注意点

引き抜きはエンジニアにとって魅力的なキャリアアップのチャンスですが、法律や企業間のルールを無視するとトラブルに発展する可能性があります。

この項目では、引き抜きに関する法律や注意点を解説。労働契約や競業避止義務、信義則の観点から、トラブルを回避しつつ安心してキャリアを進めるための知識を身につけましょう。

違法行為や契約の重要性

引き抜きには法律が関係しており、契約内容を守ることがとても大切です。

引き抜きが合法かどうかは、労働契約や秘密保持契約に違反していないかで決まります。契約違反をすると、引き抜かれた人も引き抜いた企業もトラブルに巻き込まれる可能性があります。

例えば、SES企業で「プロジェクト終了後1年間は同じ顧客企業で働いてはいけない」と契約していた場合、このルールを無視して親会社に転職すると、SES企業から損害賠償を求められることがあります。これは法律の「不正競争防止法」や契約違反に関係しています。

引き抜きの際は契約内容をよく確認し、法律に触れないよう慎重に行動する必要があります。

引抜きでの注意事項

引き抜きには、法律だけでなく礼儀や信頼関係も大切です。

引き抜きはキャリアアップのチャンスですが、元の会社とのトラブルや顧客先との信頼関係を壊さないよう配慮する必要があります。無責任な行動は自分の評価を下げる結果になりかねません。

例えば、プロジェクトが終わる前に「親会社に転職します」と突然辞めると、SES企業の同僚や上司が困るだけでなく、顧客先から「最後まで責任を果たさない人」と思われてしまう可能性があります。一方、円満退社のために早めに上司に相談し、適切な引き継ぎを行えば、信頼を失わずに済みます。

引き抜きの際は、法律だけでなく人間関係や礼儀も意識し、円滑に進めることが大切です。

社内SEとの比較

引き抜きで親会社やSIerに転職するのと社内SEになるのは、働き方や求められるスキルが異なります。

親会社やSIerに転職する場合、プロジェクトベースで多様な仕事に取り組む機会があります。一方、社内SEは自社のシステム運用やトラブル対応が主な業務で、同じシステムを長期間サポートすることが多いです。

親会社のエンジニアになると、例えば新しいネットワーク構築プロジェクトに取り組み、複数のクライアントの要件に対応することが求められます。一方、社内SEの場合は、自社のメールサーバーや社内システムの管理に専念し、「使いやすい環境を維持する職人」のような役割を担います。

親会社やSIerでは多様なプロジェクトを経験でき、社内SEでは特定の環境に特化した専門性を磨けます。それぞれの違いを理解して選ぶことが重要です。

SESから大手企業に転職する方法

SES企業で培った経験を活かし、大手企業に転職するエンジニアが増えています。しかし、競争が激しい中で成功を収めるには、戦略的なアプローチが必要です。

この項目では、SESから大手企業へ転職を成功させるための5つの方法を紹介。

SESから大手企業に転職する方法

スキルの磨き方や効果的なアピール方法など、キャリアアップを目指す方に役立つ具体的なヒントをお届けします。

配属先での実績を積む

配属先でしっかり成果を残すことが、大手企業に転職するための最初の一歩です。

成果を出すことで「この人なら信頼できる」という評価を得られます。それが転職活動の際に有利に働きます。

例えば、配属先のシステムトラブルを迅速に解決し、「あの人がいたおかげで助かった」と顧客から感謝されたエピソードがあるとします。

芯
この実績を転職時にアピールすると、即戦力として評価される可能性が高まります。

配属先での実績は、大手企業に自分の能力をアピールするための強力な武器となります。

専門資格を取得する

資格を取得してスキルを証明することは、大手企業への転職において大きな武器になります。

資格は、自分の知識や技術を客観的に示すものです。採用担当者にとって、資格は信頼できる指標となります。

例えば、CCNPを取得したエンジニアは、ネットワークの応用が確立していると認識されます。

芯
その結果、「即戦力になりそうだ」と判断され、採用の可能性が高くなります。

資格は、自分のスキルを客観的に伝えるための強力なツールです。

転職エージェントを活用する

転職エージェントを使うと、大手企業の求人情報を効率よく見つけられます。

エージェントは、自分では探しきれない非公開求人を紹介してくれることが多いからです。また、自分の経歴やスキルに合った企業を提案してもらえます。

例えば、「SESからインフラエンジニアとして大手に転職したい」という希望を伝えた場合、エージェントが具体的な求人情報や面接対策を提供してくれることがあります。

転職エージェントを活用すれば、自分に合った大手企業への転職をスムーズに進められます。

ポートフォリオを作成する

自分の実績をポートフォリオとしてまとめることで、スキルを具体的に伝えられます。

履歴書だけでは伝わりにくい実績や成果を、ポートフォリオにまとめることで、採用担当者に自分の価値を分かりやすく示せます。

例えば、「ネットワークの再設計で通信速度を30%向上させた」や「クラウド環境を構築し運用コストを20%削減した」など、数字や図を使った実績をポートフォリオに載せることで、採用担当者の興味を引きやすくなります。

ポートフォリオは、自分の実力を視覚的にアピールするための有効な手段です。

ネットワークを広げる

業界内で人脈を広げると、大手企業への転職のチャンスが増えます。

人脈が広がると、直接スカウトされたり、求人情報を早く得たりすることができるからです。特に、信頼できる人からの紹介は採用されやすくなります。

例えば、配属先のリーダーや顧客担当者と信頼関係を築き、定期的にコミュニケーションを取っていた結果、「実は今度、大手企業でとあるポジションが空くんだけど、興味ある?」と声をかけられたケースがあります。

ネットワークを広げることで、思わぬ形で大手企業への転職チャンスが生まれることがあります。

まとめ

SES企業からの引き抜きは、キャリアアップの大きなチャンスです。しかし、スキルの強化や人脈作り、法律面の理解など、戦略的な準備が必要です。特に、競争の激しい環境で自分の価値を高めることが成功のカギとなります。

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  • この記事を書いた人
芯

2022年、営業からインフラエンジニアへ転職。ホワイトSES 企業にて就業中。大手通信会社のネットワーク回線の運用監視保守や売上高1兆円超え企業の業務システムの運用保守を経験。ネットワーク寄りのインフラエンジニアです。保有資格:CCNA。CCNP勉強中

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