この記事で解決できる疑問や悩み
- SESにおけるインフラエンジニアのキャリアパスが知りたい
- キャリアアップする方法や考え方が知りたい
- キャリアアップした後の年収が知りたい
この記事は、SESにおけるインフラエンジニアのキャリアパスについて、考え方から具体的な方法までご紹介します。

記事を最後まで読むことで、未経験からでもインフラエンジニアとしてのキャリアパスを具体的にイメージすることができます。
目次
SESはSierよりもキャリアアップが難しい理由
SESは、SIerと比較してキャリアアップが難しいと言われることがあります。その理由は、案件の多様性や職場環境、技術的な深堀りの機会において異なる側面があるためです。
Sierとの違いを詳しく知りたい方は、SESとSIer、客先常駐の違いをご覧ください。
特に、SESでのキャリアアップには自己管理やスキルの磨き方に工夫が求められ、SIerに比べて上司や同僚との連携の機会が少ないことも影響します。
この項目では、その3つの主な理由について詳しく解説します。
プロジェクトの流動性が高く、長期的なスキル習得が難しい
SESでは、キャリアアップに必要なスキルの習得が難しくなることがあります。
SESのエンジニアは短期間で異なるプロジェクトに関わり、特定の技術や業務知識を深める時間が不足しがちです。
ネットワークの専門知識を深めたいSESのエンジニアは、配属先が変わるたびに他分野にも関わり、スキルの集中習得が難しくなります。

このように、プロジェクトの流動性が高いSESでは、長期的なスキル習得が難しく、キャリアアップに必要な専門知識の蓄積が難しいといえます。
キャリア支援や教育体制が整っていないことが多い
SESの企業は、キャリア支援や教育体制が充実していないことが多く、キャリアアップが難しくなります。
SES企業は派遣が主なビジネスモデルのため、教育や研修のリソースがSIer企業ほど豊富ではなく、エンジニアは自己学習でスキルアップやキャリア形成を目指す必要があります。

SESの企業はキャリア支援や教育体制が十分でないことが多いため、キャリアアップには個人の努力や投資が求められることが多いです。
顧客先での立場が限定的で、リーダー職やマネジメント職に昇進しにくい
SESのエンジニアは、顧客先での立場が限られているため、リーダーやマネジメント職に就くことが難しいです。
SESでは、多くの場合エンジニアは顧客企業のプロジェクトに「補助的な役割」で参加します。プロジェクトの中核を担う役割には就きづらく、業務の進行管理やチームを指導する立場に立てないことが多いです。

SESのエンジニアは顧客先での立場が限られているため、リーダー職やマネジメント職に昇進するのが難しくなり、キャリアアップの機会も制限されがちです。
SESで効率良くキャリアアップするために考えるべきこと
SESで効率的にキャリアアップを目指すには、戦略的にスキルを積み上げ、自己成長を促進することが重要です。
案件ごとに必要な技術や知識を深めるだけでなく、自分のキャリアビジョンを明確にし、目標達成に向けた行動を積み重ねることが求められます。
この項目では、SESでキャリアアップを効率よく進めるために考慮すべき3つのポイントについて解説します。
自分の「専門性」と「汎用性」のバランスをどう設定するかを考える
キャリアアップには、得意な分野(専門性)を深めつつ、他の分野にも対応できるスキル(汎用性)を持つことが大切です。
専門性を持つことで評価されやすくなりますが、汎用性の高いスキルを身につけることで、他分野でも活躍でき、キャリアの選択肢が広がります。
サーバー管理の専門スキルだけでは仕事が限られますが、ネットワークやセキュリティの基本知識を持つことで、関連分野の仕事にも挑戦でき、プロジェクトの幅が広がります。
専門性 | 汎用性 | キャリアアップの幅 |
---|---|---|
サーバー管理技術 | ネットワークやセキュリティの基本知識 | 様々なインフラ関連の仕事に挑戦できる |

専門性と汎用性のバランスを考えることで、より広い分野で活躍し、安定したキャリアを築くことができます。
キャリア目標を達成するために、最適なプロジェクトの選び方を戦略的に考える
キャリア目標を達成するためには、どのプロジェクトに参加するかを戦略的に選ぶことが必要です。
SESではプロジェクトごとに学べるスキルが異なるため、目指すキャリアに合ったプロジェクトを選ぶことで、効率よく経験や実績を積むことができます。
クラウドインフラを目指すならクラウド技術のプロジェクトに、プロジェクトマネージャーを目指すならリーダーシップを発揮できるプロジェクトに参加することで、必要なスキルや経験を早く積むことができます。
目標 | 選ぶべきプロジェクト | 結果 |
---|---|---|
クラウドインフラ技術 | クラウド技術を使用したプロジェクトに参加 | クラウドインフラのスキルが身につく |
プロジェクトマネジメント | リーダーシップを発揮できるプロジェクトに参加 | マネジメントスキルが向上 |

戦略的にプロジェクトを選ぶことで、自分のキャリア目標に合ったスキルを効率よく積むことができ、キャリアアップを加速させることができます。
もし、あなたが望まない案件を紹介されたときは、SES案件の断り方を参考にしてください。
人脈と業界情報を「将来のキャリアにどう活用するか」を明確にする
人脈や業界情報を将来のキャリアアップに、どう活用するかを考えることが重要です。
業界の動向や人脈を把握することで、必要なスキルを早期に学び、新しい仕事やプロジェクトのチャンスを得やすくなります。
クラウド技術の勉強会に参加して最新トレンドを学び、重要技術を早期に習得できます。また、勉強会で得た人脈を活用し、転職やプロジェクトのチャンスを得やすくなります。
活動 | 目的 | 結果 |
---|---|---|
勉強会に参加する | 業界の最新情報を得る | 必要なスキルを早期に学べる |
人脈を広げる | 転職や新しいプロジェクトの機会を得る | チャンスを増やし、キャリアアップに繋がる |

人脈と業界情報をしっかり活用することで、キャリアアップに必要なチャンスを得やすくなり、より早く目標を達成することができます。
SESで確実にキャリアアップするための方法
SESで確実にキャリアアップを実現するためには、明確な目標設定と継続的なスキル向上が不可欠です。多様なプロジェクトに参加することで経験値を積み、専門知識を深めることが大切です。
また、業界動向を把握し、必要な技術を習得することで、より高い価値を提供できるエンジニアへと成長できます。
この項目では、SESでキャリアアップを確実に進めるための方法を紹介します。
基礎的なスキルをしっかり身に付ける
SESエンジニアとしてキャリアアップするためには、まず基礎的なスキルをしっかり身につけることが大切です。
基本的なスキルがしっかりしていれば、どんなプロジェクトにも対応でき、エンジニアとして信頼されます。これがあってこそ、次のステップに進む準備が整います。
ネットワークの設定やサーバー管理、セキュリティ対策といった基本的なインフラ技術を学び、実践で使えるようにします。これにより、初めて関わるプロジェクトでも役立つ技術を提供できるようになります。
基本的なスキル | 得られる結果 |
---|---|
ネットワーク設定 | どんなプロジェクトにも対応可能 |
サーバー管理 | 問題解決能力が向上 |

基礎をしっかり学ぶことが、キャリアアップへの第一歩です。
特定分野での専門性を高め、資格を取得する
特定の分野で専門性を高め、資格を取得することで、SESエンジニアとしての価値が高まります。
専門的な知識や資格を持っていると、他のエンジニアとの差別化ができ、特定の技術を求めるプロジェクトに選ばれやすくなります。資格も一つの証明となり、自信にも繋がります。
「AWS認定ソリューションアーキテクト」など、クラウド技術の資格を取得すると、クラウド関連のプロジェクトで専門家として活躍できます。これにより、高単価の案件にも参加できるようになります。
資格・専門性 | 得られる結果 |
---|---|
AWS認定資格 | 高単価のプロジェクトに参加可能 |
CCNA | ネットワーク関連の仕事が増える |

資格を取得し専門性を高めることで、キャリアアップの幅が広がります。
インフラエンジニアの資格については、インフラエンジニアが資格取得する際の最適な順番を参考にしてください。
プロジェクト選びを戦略的に行い、経験を積む
自分のキャリア目標に合ったプロジェクトを選ぶことで、効率よくスキルを向上させることができます。
キャリア目標に必要なスキルを学ぶために、選ぶプロジェクトが重要です。戦略的に選ぶことで、成長を加速させることができます。
クラウド技術を学びたいならクラウド関連のプロジェクトを、マネジメントスキルを伸ばしたいならリーダーを任されるプロジェクトに参加すると効果的です。
キャリア目標 | 選ぶべきプロジェクト | 得られる成果 |
---|---|---|
クラウド技術の習得 | クラウド技術を使用したプロジェクト | クラウドスキルが身につく |
マネジメント力向上 | 小規模チームのリーダー経験 | リーダーシップが磨かれる |

戦略的にプロジェクトを選ぶことで、目標に向かって効率的に成長できます。
今の現場から変えて、自分の望む現場に行く方法は、SESで現場を変える方法を参考にしていただければと思います。
社外のネットワークを積極的に広げる
社外のネットワークを広げることは、キャリアアップに非常に重要です。
業界内のイベントや勉強会で人脈を広げることで、新しい情報や仕事のチャンスを得ることができます。また、他のエンジニアと情報交換をすることで、自分のスキル向上にも繋がります。
勉強会や技術イベントに参加して、最新技術を学び、他のエンジニアと知り合うと、転職や新しいプロジェクトへの参加機会が得られます。
ネットワーク活動 | 得られる結果 |
---|---|
勉強会参加 | 最新技術や情報を得る |
業界イベント参加 | 新しいチャンスを得る |

社外のネットワークを広げることで、キャリアに役立つチャンスが増えます。
マネジメントスキルを強化し、リーダーシップを発揮する
マネジメントスキルを強化し、リーダーシップを発揮できるようになることがキャリアアップには欠かせません。
リーダーシップを持つことで、チームやプロジェクトをまとめる力が養われ、上級職や管理職へのステップアップが可能になります。
小さなチームのリーダーを務めることで、マネジメントスキルを磨き、大規模プロジェクトのリーダーとして活躍できるようになります。
スキル | 得られる結果 |
---|---|
リーダーシップ | 上級職や管理職に昇進 |
マネジメント力 | 大規模プロジェクトを牽引 |

マネジメントスキルを強化することで、より高いポジションを目指すことができます。
インフラエンジニアのスキルセット
インフラエンジニアとして活躍するためには、技術的なスキルだけでなく、幅広い知識と対応力が求められます。システムの安定稼働を支えるために必要なスキルセットは多岐にわたります。
この項目では、インフラエンジニアとして必要不可欠な4つのスキルセットを紹介し、それぞれの役割と活用方法を解説します。
ネットワークスキル
レベル1(基本)
- IPアドレス、サブネットマスクの理解
ネットワークの基本単位を把握し、ネットワークの接続方法を理解する。 - OSI参照モデルとTCP/IPモデルの基本理解
通信の階層構造やデータのやり取り方法を学ぶ。 - ネットワーク機器の基礎知識
ルーター、スイッチ、ハブなどの基本的な役割と動作を理解する。
レベル2(中級)
- VLANとサブネット設計
複数のネットワークを分けるためのVLAN設定や、適切なIPアドレス設計を実施する。 - ルーティングプロトコルの設定(RIP、OSPF、BGP)
複雑なネットワーク環境でのルーティングの設定や最適化を行う。 - ネットワークセキュリティ対策(ファイアウォール、ACL)
不正アクセスを防ぐためのアクセス制御リスト(ACL)やファイアウォール設定を実施する。
レベル3(上級)
- 高度なトラフィック分析と最適化
ネットワークトラフィックの監視・分析、ボトルネックの発見と解消を行う。 - SDN(Software-Defined Networking)とネットワーク仮想化
複雑なネットワーク構成をソフトウェアで制御・管理する。 - 高可用性と冗長化の設計
ネットワークのダウンタイムを最小限にするための冗長化設計と実装を行う。
スキル 具体的な業務内容 得られる成果
サブネット設計 IPアドレス計画とサブネット分割 効率的なネットワーク管理
ルーティング設定 OSPF、BGP、RIPの設定と運用 大規模ネットワークの最適化
SDN/ネットワーク仮想化 ネットワークの柔軟な制御と管理 高度なスケーラビリティと効率性
サーバースキル
レベル1(基本)
- サーバーOSのインストールと基本的な設定
Linux、Windows Serverのインストールから、最初の設定を行う。 - ユーザー管理とファイルシステム操作
ユーザーアカウントの作成、パーミッションの設定、基本的なファイル操作を行う。 - サービス管理(起動・停止)
サーバーサービスの開始、停止、設定ファイルの変更を行う。
レベル2(中級)
- Webサーバー(Apache、Nginx)の設定
ウェブアプリケーションのホスティングに必要な基本的なWebサーバーの設定を行う。 - パフォーマンス監視とチューニング
サーバーのリソース使用状況の監視とパフォーマンスの最適化を行う。 - バックアップとリストアの設定
定期的なバックアップのスケジュールと、必要時の復旧作業を行う。
レベル3(上級)
- 仮想化技術(VMware、Hyper-V)の運用
仮想マシンを用いたサーバーの効率的な運用と管理を行う。 - 高可用性の構築
クラスタリング、ロードバランサを使用して、システムのダウンタイムを減少させる。 - セキュリティ管理とアクセス制御
サーバーの脆弱性を管理し、セキュリティを強化(SSH、SSL/TLS)する。
データベーススキル
レベル1(基本)
- SQLの基本操作(SELECT、INSERT、UPDATE、DELETE)
データベースの基本的な操作方法を理解し、実行する。 - データベース設計(テーブル、インデックス、リレーション)
基本的なリレーショナルデータベースの設計方法を学ぶ。 - バックアップとリストア操作
定期的なバックアップ、データ復旧手順の理解と実行を行う。
レベル2(中級)
- 高度なSQLクエリ(JOIN、サブクエリ、集計関数)
複雑なデータを抽出するためのSQLの使用方法を学ぶ。 - パフォーマンスチューニング(インデックス最適化、クエリ最適化)
データベースのパフォーマンス向上を目的としたチューニングを行う。 - トランザクション管理とデータ整合性の確保
データベース内の一貫性と安全性を保つために、トランザクションを実行する。
レベル3(上級)
- レプリケーションとシャーディング
データベースのスケールアウトを支える技術で、データの分散配置を行う。 - データベースのセキュリティ管理(暗号化、アクセス制御)
セキュアなデータ管理を実現するためのセキュリティ技術を導入する。 - 高度なバックアップとリカバリ戦略
大規模なデータベース環境における複雑なバックアップ戦略と復旧手順を実行する。
クラウドスキル
レベル1(基本)
- クラウドサービスの基本的な理解(AWS、Azure、GCP)
クラウドの主要プロバイダとそのサービスの基本を理解する。 - インスタンス作成と管理、ストレージ設定
仮想マシン、ストレージサービスの作成と設定を行う。 - クラウドインフラの監視
クラウドリソースの使用状況やパフォーマンスを監視する方法を学ぶ。
レベル2(中級)
- オートスケーリングと負荷分散の設定
トラフィックの増減に対応するためのリソーススケーリングと分散方法を設定する。 - IAM(Identity and Access Management)の設定
クラウドリソースへのアクセス管理と制御を行う。 - マネージドサービスの使用(RDS、S3、Cloud Functions)
データベースやストレージサービスを活用する方法を学ぶ。
レベル3(上級)
- インフラストラクチャのコード化(Terraform、CloudFormation)
クラウドリソースをコードで管理するためのツール活用を行う。 - マルチリージョン設計と災害復旧計画
高可用性を実現するための冗長化設計と災害復旧計画を立てる。 - サーバーレスアーキテクチャの設計(Lambda、Azure Functions)
サーバーレスでスケーラブルなアプリケーションの設計と運用を行う。
これで、ネットワーク、サーバー、データベース、クラウドに関するスキルセットがより具体的に、レベルごとに整理されました。
それぞれのレベルにおいて必要なスキルや実務を細かく示し、ステップアップを目指せるようにしています。
キャリアパスを考える際のおすすめ年収は600万である理由
キャリアパスを考える際に年収600万円を目安とすることは、安定した生活基盤を築き、専門性を高め、市場価値を向上させるために重要な指標となります。
この年収は、生活費を十分にカバーしながら、将来への投資や貯金を可能にします。また、専門的なスキルを生かし、キャリア成長の余地を持つバランスの取れた収入として理想的です。
この項目では、年収600万円がキャリアパスにおいて有益な理由を3つの視点から解説します。
安定した生活基盤の確保
年収600万円は、安定した生活を送るために適切な金額です。
年収600万円は、生活費や家庭の支出を十分にカバーできる額です。日本の平均的な生活水準に照らし合わせても、経済的な不安が少なく、安定した生活基盤を築けます。

年収600万円は、生活基盤をしっかりと確保できる理想的な金額であり、日々の不安を減らすために重要です。
専門性と経験を生かした市場価値の向上
年収600万円は、専門性や経験を活かした職業で得られる適正な報酬です。
専門職や技術職では、一定の経験と知識を積むことで市場価値が上がります。年収600万円は、こうした専門職で成果を出している人々にとって妥当な金額です。

専門的なスキルを活かして年収600万円を得ることは、自己成長と市場価値の向上に直結します。
キャリアの成長余地とバランス
年収600万円は、キャリアの成長余地を持ちながらも、プライベートとのバランスが取れる金額です。
年収600万円は、キャリアアップを目指しながらもプライベートの時間や健康を維持できる額です。過度に働かなくても良い収入を得ることができ、長期的に働きやすい環境を作れます。

年収600万円は、キャリア成長とプライベートの充実を両立させる理想的な金額です。
また、SESの給料が上がらない理由でお話ししている通り、SESは仕組み上、Sierほど給料は上がりません。ただ、600万円はSESでも十分可能な範囲なので、再現性も含めて600万円を推奨しています。
まとめ
SESでインフラエンジニアとしてのキャリアパスを描く際、まずは専門的な技術力と経験を積み、スキルセットを広げていくことが重要です。
インフラエンジニアの需要増加にてお話ししている通り、どの技術を勉強して深めていっても、供給量が足りていないので、需要はあります。
具体的には、クラウド技術やセキュリティの知識を深めることがキャリアアップに繋がります。
また、チームリーダーやマネジメント職を目指すことで、更なる成長を遂げることができます。SESでは、豊富な案件と多様な業界経験を積むことが可能で、自己成長の幅が広がります。
今の仕事に満足していないなら、新たな挑戦があなたを待っています。自分のキャリアを切り拓くために、まずは一歩踏み出してみましょう。