この記事で解決出来るお悩み
- CCNAの難易度が上がったって聞いたけど本当?
- とにかく難しい。合格するための方法を教えて欲しい
- 正直、勉強が嫌になってきた。取得メリットはあるの?
この記事では、CCNAの難易度が上がった背景について解説し、確実に合格するための勉強方法をお伝えします。


筆者の合格証明書
この記事を最後まで読むことで、CCNAの難易度を正しく理解することができ、合格するための道筋を逆算して見つけることができるようになります。
記事の前半では「CCNAの難易度が上がった理由や概要」、後半では「CCNAの取得メリットや勉強方法」について解説しています。
CCNAの試験範囲は改訂されるたびに難しくなっています。直近で言えば、情報セキュリティやクラウドに関する分野のインプットも必須になりました。
難しくなった分、希少価値も高まっているので、駆け出しエンジニアや今からインフラエンジニアを目指す方は是非とも取得を目指して欲しいと思います。
目次
CCNAとは
CCNAはCisco社(以下、シスコ)が提供しているベンダー資格です。シスコはネットワーク機器の世界最大手の企業で、日本及び世界においてトップシェアの座に位置する企業です。
メモ
ベンダー資格とは民間資格のこと。資格は主に国家資格と民間資格があります。
シスコが提供しているネットワーク系の資格が複数あります。ネットワークエンジニアが受けるとしたら
CCNA
CCNP
CCIE
のいずれかになるでしょう。
最上位にあたるCCIEは世界でも2万人ほどしか保有していないとされる最難関資格となります。
CCNAの難易度が上がった理由とその影響
ただ、CCNAはその中でもネットワークエンジニアの入門資格に位置付けされています。新入社員研修などで、短期間で取得させる企業もあります。
正式な合格率は非公表ですが、おおむね20~30%と言われていますね。合格点はCBT方式のため、試験内容によって異なります。
CCNAの試験は、ネットワークエンジニアを目指す多くの人にとって基本資格ですが、以前に比べて難易度が上がったとされています。


コツコツのスコアレポート
国家資格であるIPAの技術者試験だと、基本情報技術者試験相当とされているので、レベル2相当です。(IPAのレベルは7段階あり、レベル2はミドルレベルです)
これには以下の7つの理由が関係しています。
分かりやすく説明していきます。
ネットワーク技術の進化と対応範囲の拡大
ネットワーク技術の急速な進化に伴い、CCNA試験がカバーする範囲が広がっています。クラウド技術、セキュリティ、SDN(ソフトウェア定義ネットワーク)など、現代のネットワークには従来の知識だけで対応しきれない新しい技術が求められるからです。
デジタルトランスフォーメーションの進展により、企業が複雑なネットワークシステムを構築するケースが増えています。Ciscoはこれに対応するため、試験に新しいトピックを追加し、現実の職務に役立つ内容に変更しました。
Statistaの報告によると、2020年からクラウドやセキュリティ分野への投資は毎年15%以上増加しており、これらの技術がネットワークの中核を成しています。

つまり、CCNAの難易度が上がったのは、時代のニーズに合わせて必要とされる技術が増え、試験範囲が広がったことが要因の一つです。
実践的スキルの重視
CCNA試験では、理論だけでなく実際の業務に活用できるスキルがより重視されています。そのため、試験の難易度も上がっています。
Ciscoは、現場で即戦力となるエンジニアを育成するために、ただの知識ではなく実践的なスキルを求めています。たとえば、トラブルシューティングやネットワーク設計は、実務で頻繁に求められるスキルです。
これに伴い、CCNA試験には実践的な課題が多く含まれるようになり、暗記だけでなく問題解決能力も試されるようになっています。

CCNA試験が難しくなった背景には、現実の職場で役立つスキルを測ることを目的としている点が挙げられます。
セキュリティと自動化の知識の追加
CCNA試験には、セキュリティと自動化の知識が新たに追加され、学習する内容がさらに増えました。
現代のネットワーク運用において、セキュリティは欠かせません。さらに、自動化は管理業務を効率化するために導入が進んでいます。Ciscoもこれを重要視し、試験にセキュリティや自動化関連の項目を追加しました。

CCNA試験におけるセキュリティと自動化の重要性が増したことは、現代のネットワーク管理者に必要なスキルを反映していると言えます。
試験内容の見直しと定期的なアップデート
CCNA試験の内容は定期的に見直され、時代に合った内容にアップデートされています。これにより、新しい技術や考え方に対応するため、受験者にはさらに広範囲の知識が求められるようになっています。
Ciscoは、時代の変化に合わせて、試験の内容を進化させています。新しい技術や実務で役立つ知識が増えるたびに、試験の範囲もアップデートされるからです。
これにより、CCNAの資格保持者は、常に最新の技術トレンドに対応できるようになります。

このように、CCNA試験の見直しはネットワーク技術の変化に対応するためであり、受験者は最新の知識を常に学ぶ必要があります。
デジタル変革とネットワークの役割拡大
デジタル技術の発展により、ネットワークの役割が拡大し、試験内容もさらに充実したものとなっています。
現在、多くの企業はデジタル技術を利用して業務を効率化し、競争力を高めています。そのため、ネットワークは企業にとって欠かせない基盤となり、エンジニアにはこれらを理解し管理する能力が求められています。
Accentureの調査によれば、企業の70%以上がデジタル技術への投資を増やしており、ネットワーク技術の重要性が高まっています。

デジタル変革が進む中で、ネットワーク技術はますます重要となり、それが試験の難易度向上につながっています。
自主学習の難易度の上昇
試験内容が高度化したことで独学だけでの対策が難しくなり、受験者は専門的なサポートを利用する必要が増えています。
新しい技術分野や試験内容の広がりにより、個人での学習だけではカバーしきれない知識量と実践スキルが必要です。
データによると、IT資格の取得には平均で100時間以上の学習が必要とされ、CCNAもその例外ではありません(Global Knowledge社の調査より)。

試験の難易度が上がった結果、CCNA受験者には専門的な教材やサポートがますます重要になっています。
グローバル市場における競争力の向上
CCNA資格の国際的な評価が高まっており、世界中の受験者との競争が激しくなっています。そのため、資格の水準が引き上げられ、難易度が高くなっています。
CCNA資格は、世界中でネットワークエンジニアとしてのスキルを証明する資格として知られています。
世界的に受験者が増えたことで、Ciscoは資格の品質を維持するために内容を高度化し、受験者が高いスキルを持っていることを証明できるようにしています。

このように、CCNAの難易度向上には、グローバル市場での競争力を維持する意図があり、資格保持者には高いスキルが求められるようになっています。
CCNA取得に必要な勉強時間について
CCNAは「ネットワーク分野の入門資格」とされていますが、特に未経験者が仕事と両立して取得を目指す場合、学習には半年から1年が必要です。この資格は基礎的とされながらも範囲が広く、ネットワークの基礎を深く理解する必要があります。
Cisco公式では未経験者に100~120時間の学習を推奨していますが、実際には多くの受験者が200~250時間を費やしています。そのため、資格取得には中長期的な学習計画と業務外の時間を確保する努力が求められます。

勉強時間については、未経験者がCCNAに受かる為に必要な勉強時間で深く掘り下げてお話ししています。
CCNAの出題範囲や問題形式
CCNA試験では、ネットワーク技術の基礎から実務で役立つ応用知識まで、幅広い分野が出題されます。問題形式は、選択問題とシナリオベースの実務形式が中心で、理論的知識と実践的スキルの両方が問われます。
CCNAは、ネットワーク分野で基本的かつ実践的な技術力を証明する資格です。試験内容はCiscoが公式に公開しており、主な出題範囲は以下のように整理できます。
- ネットワークの基礎:LANやWAN、IPアドレスなどネットワークの基本概念
- ルーティングとスイッチング:データの転送プロトコル、ルーティングの設定、VLANなど
- セキュリティ:ネットワーク攻撃の種類と対策、VPN基礎
- 自動化とプログラミング:Pythonの基礎、ネットワーク管理の自動化
また、CCNA試験には以下の2つの問題形式があります。
- 選択問題:ネットワーク技術に関する基礎知識の確認
- シナリオ形式:シミュレーション形式で実務に近い状況を想定し、応用力を問う問題
CCNAのシナリオ問題では、たとえば「ネットワークが繋がらないトラブルの原因を特定し解決する手順」をシミュレーション環境で設定するケースがあります。
これは、設定ミスを発見し、修正する実務能力を確認するためのもので、選択問題では理解しきれないネットワークの仕組みを理解する上で重要です。
さらに、「ルーティングとスイッチング」の項目では、IPパケットがネットワークをどのように移動するかについての理解が求められ、実際にルーティングプロトコルを設定して通信を行う技術も問われます。
カテゴリー | 内容 |
---|---|
ネットワーク基礎 | LAN/WANの仕組み、IPv4・IPv6、OSI参照モデルなど |
ルーティングとスイッチング | VLAN設定、ルーティングプロトコル(OSPF、EIGRP)など |
セキュリティ | ネットワーク攻撃の対策、アクセスリストなど |
自動化とプログラミング | 自動化技術の基礎、SDNなど |
CCNA試験は、基本的なネットワーク知識を体系的に理解し、実際の現場で使える応用力を確認するための資格です。
ネットワーク初心者にとっては一見難しい分野もありますが、しっかりとした準備と実務視点での勉強を心がければ、合格に必要なスキルを身につけることができます。
問題形式ごとの対策は、CCNA(200-301)の問題形式でお話ししています。
CCNAとほかの資格の難易度の差
CCNAと他のインフラ系資格の難易度の差は、ITSSのレベルを参考にするのが一般的です。
ITSSとは
ITSSは経済産業省が推進し、日本国内のIT業界で広く使われている基準です。この基準を使うことで、個人のスキルレベルや企業内で求められる役割が明確になります。
ITSSのレベルは、例えるなら「ゲームのレベルアップシステム」のようなもので、自分がどのステージにいて、次に進むには何をすればいいかが分かる仕組みになっています。
ITSSのレベルを参考に、独自に作成した表が以下の通りです。
汎用系資格 | ネットワーク | サーバー | データベース | |
レベル4 | 各高度情報技術者試験 | CCIE | ORACLE MASTER Platinum | |
レベル3 | 応用情報技術者試験 | CCNP | LPIC-3 | ORACLE MASTER Gold |
レベル2 | 基本情報技術者試験 | CCNA | LPIC-2 | ORACLE MASTER Silver |
レベル1 | ITパスポート | LPIC-1 | ORACLE MASTER Bronze |
上記の表に従うと、CCNAは基本情報技術者試験、LPIC-2、ORACLE MASTER Silverと同等の難易度だということが分かると思います。
筆者の会社の資格グレード
参考までに、私の会社の給料の大部分は技術手当になっています。技術手当はレベル0~4まで分けられていて、一つ上のレベルに上がるには、そのレベルに相当する資格の取得が必須条件となっています。
私の会社の技術手当もITSSを元に作られているので、レベル2に上がるための必須資格となっています。
CCNAが難しい場合の代替資格
CCNAが難しいと感じる場合でも、別の資格を取ることでネットワークの知識を身につけ、キャリアに役立つスキルを得られます。代替資格には、CompTIA Network+、JNCIA-Junos、ITIL Foundationの3つが特におすすめです。
CCNAは基礎から応用まで幅広くカバーしており難易度が高い一方、CompTIA Network+やJNCIA-Junosは基本を学びやすく、取得しやすいとされています。
- CompTIA Network+:ネットワーク全般の基礎が学べる入門資格で、ネットワークエンジニアやサポートエンジニアの初歩として最適です。
- JNCIA-Junos:ネットワーク技術に関する基礎知識を学べる資格で、特にネットワークの初級エンジニアに人気があります。Juniper社の資格ですが、ネットワークの基本原則は共通です。
CCNAが難しいと感じる場合でも、ネットワークの知識を深められる資格は他にもあります。まずは自分に合った難易度の資格から挑戦し、少しずつ知識を積み重ねていくことで、ネットワーク分野でのキャリアを確実に前進させていきましょう。
他にも、LPICやAWSの選択肢としてアリなので、それぞれの違いが気になる方は、
CCNAかLPICか?失敗しないための基準7選【現役SEが解説】
をご覧ください。
いずれは合格できる
CCNAはネットワーク初心者向けの資格ですが、挑戦し続ければ必ず合格できると思います。以下の記事では、CCNAの全体的な攻略法について解説をしています。
基本情報技術者試験と同等の難易度なので、高い壁という訳ではありません。合格率は20~30%と言われていますが、しっかり勉強すれば高確率で受かる試験です。
私はエンジニア未経験の状態から8か月で合格しました。8か月という期間も決して短いわけではなく、平均的だと思います。
CCNAを取得すると
・社内評価が上がる
・昇給する
・希望の現場に配属されやすくなる
など、技術的なメリット以外もあります。
もし、独学での合格に自信のないかたは、CCNA取得を通じた転職支援サービスを受けるのも選択肢のひとつです。